リオ五輪柔道男子81キロ級のアラブ首長国連邦(UAE)代表セルジュ・トマ選手が、現地時間8月9日に行われた3位決定戦に勝利し銅メダルの栄誉に輝いた。2004年のアテネ大会以来、UAE史上2つ目のメダル獲得となった。
トマ選手はモルドバ出身。パリで行われた11年の世界選手権で3位になり、2013年に他の同国出身選手と主にUAE国籍を取得した。前回のロンドンオリンピックには、モルドバ代表として出場し、3回戦で日本の中井貴裕選手に敗れていた。
2回戦からの出場となった今大会。ドイツのスベン・マレシュ選手に一本勝ちを収めると、3回戦では、地元ブラジルのビクトル・ペルナベウに合わせ技一本で準々決勝へ駒を進めた。
準々決勝では日本代表の永瀬貴規選手と対戦。3分を経過したところで、トマ選手が仕掛けた袖釣り込み腰で永瀬選手が肩を付き有効の判定。残り2分近く、永瀬選手の攻撃をかわしたトマ選手が優勢勝ちを収めた。
メダルに王手がかかる中、準決勝では、ロシアのハサン・ハルムルザエフ選手に延長の末、ともえ投げによる一本で敗北を喫した。ハルムルザエフ選手は、決勝でアメリカのトラビス・スティーブンズ選手を破り、表彰台の真ん中に立った。
気持ちを切り替え臨んだ3位決定戦。敗者復活戦を勝ち上がってきたイタリアのマッテオ・マルコンチーニ選手と対決。青い柔道着のトマ選手は、勢いに乗る相手の攻撃を交わしながら、2分16秒に隅返しを放つ。相手の体が畳に倒れ、見事一本で勝利した。
2004年にシェイク・アハメド・ビン・ハシェル・アル・マクトゥーム殿下が射撃で優勝して以来、UAEに2つ目の五輪メダルをもたらした。
大会を通じて務めて冷静なそぶりを見せていたトマ選手は、3位決定戦で一本勝ちが決まると、胸に手を当て目に涙を浮かべた。
トマ選手は「自分にチャンスを与えてくれたUAEに感謝している。自分は最高のレベルでもできると信じていた」と語った。