アラブ首長国連邦(UAE)の通貨「ディルハム(Dirham)」が5月19日、誕生から43周年を迎えた。UAE建国から遅れること534日、1973年に初めて流通が始まった貨幣は、世界でも新しい通貨の一つだ。
ディルハムの語源は、ギリシャ語の「一握り」を現す「Drachmae」に由来する。1973年に誕生するまで、現在のUAEの土地では、ガルフ・ルピーやカタール・リヤル、ドバイ・リヤルなどの通貨が流通していた。
ディルハムは、6つのコインと8つの紙幣で成り立っている。コインは、1ディルハム(約30円)のほか、1ディルハムの2分の1の価値の50フィルス、同4分の1の25フィルス、10フィルス、5フィルス、1フィルスがある。現在、10フィルス以下のコインはほとんど流通しておらず、支払いの際は、25フィルスや50フィルスを使い、大ざっぱに調整するようになっている。
コインの表裏には模様が施されており、表にはUAEを現すイメージ、裏には中央にコインの額が記載され、それを取り囲むように周囲にはアラビア語と英語でアラブ首長国連邦の文字が並ぶ。
1ディルハムの表面は「アラビックコーヒーのポット」で、アラブ人のアイデンティティーとホスピタリティを現している。50フィルスは産油国らしく「油田掘削装置」で、ほかには砂漠に生息する「ガゼル」や、UAE発展の礎を築いた交易の足「ダウ船」などが採用されている。
コインをデザインしたのは、英国のコインデザイナーGeoffrey Colleyさん。Colleyさんは、ディルハムの他、ナイジェリアやバーレーン、アイスランドやイラクのコインのデザインも手掛けた。
過去には記念コインも多数発行されてきた。最初に登場したのは1976年の建国5周年を記念した金の1,000ディルハムコイン。その後、イスラム教が用いるヒジュラ暦1500年の記念に発行した5ディルハムの記念コイン(1981年)や、石油輸出25周年記念コイン(1987年)なども発行された。最近では昨年秋、ドバイのグローバルビレッジ10周年を記念した1ディルハムコインが発行されている。