今年もヒジュラ暦第9の月「ラマダン」が間もなく始まる。月の満ち欠けによってラマダン月に入ることが確認されるため正式な日程は決まっていないが、5月27日ごろになる予定。
ラマダン中はイスラム教にとって聖なる月であり、そのほかの月と異なる生活スタイルとなる。就労時間や学校の時間の短縮、日中に人の目に触れるところでの飲食の禁止など、外国人の生活に影響を及ぼすものもある。
憲法で明文化しイスラム教を公式な宗教とするアラブ首長国連邦では、外国人であってもイスラム教とイスラム教徒に配慮した行動が求められる。普段より厳格に取り締まるため、外国人も現地事情を理解し気を付けて行動しなければならない。
ラマダン中、イスラム教徒は日中の飲食や喫煙を絶つ。毎日、日の出前にスフールと呼ばれる食事を取り、アラビア語で夜明けを意味するファジュル(Fajr)の礼拝に備える。ファジュルは、1日に5回行う礼拝の最初のもので、ここから、4番目の礼拝となるマグレブ(日没後の礼拝)まで一切のものを口にしない。
非イスラム教徒は、日中に断食や禁煙を強制されることはないが、外部の目の届かないところで飲食や喫煙をしなければならない。自宅や事務所などでイスラム教徒の目に触れないようにするか、黒いテントで店舗全体を覆い営業しているレストランやカフェを利用する。
公共の場での愛情表現は普段から禁止されているが、ラマダン中はより厳格に規制される。過去にはビーチでキスをしていた外国人が逮捕されたというケースもある。
公共の場に出る際の服装も、露出の激しいものや体のラインが際立って見えるものは控えなければならない。
一方で、ラマダン中にしか楽しめないイベントなどもある。
断食後の最初の食事「イフタール」は、外国人に向けたものにもなっており、ドバイでは毎年、イフタールを提供するきらびやかなラマダンテントが街中を彩り、ラマダン中の風物詩になっている。
ほかにも、ショッピングモールの営業時間延長やラマダンセール、夜間のラマダンマーケットなど、ラマダン月ならではのイベントも多くある。
ブルジュ・ハリファやジュメイラ・ビーチ・レジデンスなど市内6カ所には、ドバイ警察が大砲を設置。ラマダン中は毎日日の入りに合わせ、一日の断食の終わりを告げる大砲を鳴らす。1960年代から続く風習で、ラマダン中の名物となっている。