米最大手ハンバーガーチェーン店「マクドナルド」がドバイに進出して20年、ドバイは今、空前のハンバーガー競争時代に突入しつつある。特に近年は、1食あたり40AED(約1,300円)を超える欧米の高級店が軒並み進出し、その競争に拍車をかけている。ドバイ経済新聞では、加熱するハンバーガー競争に焦点を当て毎週水曜日にレポート記事を掲載。第1回は、現地人に特に人気の高級ハンバーガーチェーン店に迫る。
UAE人に好きなハンバーガーショップを聞けば、候補に必ず挙がる名前がある。「いつ行ってもローカル(UAE現地人)でいっぱい。おいしいし、はやっているからね」と好評を博しているのが、今年ドバイ1号店が開店したばかりの「CaliBurger(Jumeirah Beach Road)だ。
店内は、UAEの民族衣装カンドゥーラを着た男性客や黒いアバヤを着た女性客が大半を占め、行列に並びながらメニューに目を通している。店の目の前にある駐車場には、ドバイ・ナンバーの車だけでなく、アブダビやシャルジャといった他の首長国のナンバーを付けた車も駐車するなど、UAE国内全体での人気と関心の高さを示している。
その名の通り、CaliBurgerは米カリフォルニア州ロサンゼルス発祥のハンバーガーショップ。店内は米国西海岸を模した内装が施されており、煌々(こうこう)と明るく光る照明はカリフォルニアの大きな太陽を連想させる。オーシャン・ブルーに塗られた木を基調とした外観は、さながら潮風を浴びるサーフショップのようだ。
メニューは、健康に配慮した脂肪分ゼロの牛肉(100% lean all-beef)を使ったこだわりのハンバーガーなど7種類から選ぶ。ポテトやドリンクを選択し、コンボにするのが一般的だ。「溶けるチーズとの組み合わせが大好き」(UAE人女性)と、米国産チーズが肉汁たっぷりのパテのおいしさを引き出している。
はやりものが大好きなドバイ人にとって、今年できたばかりの人気店は行列に並んでも行きたくなる場所。場所も分かりやすく、ビーチに近接していることも人気の要因の一つだ。
CaliBurgerの位置するジュメイラ・ビーチ通りは、ドバイの中でもひときわハンバーガー激戦区。ドバイの海岸線に並行して走る通り沿いにはCaliBurgerのほかにも、2016年に日本進出が決まった「Shake Shack」や、「Elevation Burger」「Fat Burger」などの米系高級ハンバーガーショップが店を構える。
本場米系に負けじと、スウェーデンの大手「Max Burger」や、ニュージーランド産の牧草飼育牛を使った「Burger Fuel」など、世界のハンバーガーショップがひしめき合っている。一方で、「Moylo's」などの、ドバイ発ハンバーガーショップが、これに対抗する構図ができつつある。
人気店に人が集まる。それによって、海外のハンバーガーショップがますますドバイに進出する。はやりものが好きで、目新しいものが瞬く間に人気になるドバイ。日本のハンバーガーショップの進出予定は、まだない。