ドバイのマクトゥーム・ビン・ラーシド・アル・マクトゥーム・スタジアムで1月12日、ドバイで合宿中のドイツ・ブンデスリーガのボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)が、同アイントラハト・フランクフルトとの強化試合に臨み、4-0で快勝した。
ドルトムントの日本代表MF香川選手は先発を外れ後半から出場。同じく日本代表でフランクフルトの長谷部誠選手はフル出場だった。
19時35分にキックオフを迎えた会場には、ドバイ在住ドイツ人を始め多くの観客が集まった。日本代表選手の対決を見ようと、多くの日本人もドルトムントや日本代表のユニホームを持参して観戦。会場を訪れた児童は、所属する日本人サッカーチームから試合情報を聞き付けて来場し、「香川選手にも長谷部選手にも頑張ってほしい」と両日本代表選手の活躍に期待を寄せた。
立ち上がりから優勢に試合を進めたのは、18チームで争うブンデスリーガで2位につけるドルトムント。前半3分には、中盤でボールを奪取したイルカイ・ギュンドアン選手がマルコ・ロイス選手につなぎ、左サイドの崩しから抜け出したモリッツ・ライトナー選手がシュートを放つが、フランクフルトのゴールキーパー、ルーカス・フラデツキー選手に阻まれる。
前半7分には、ライトナー選手からのスルーパスに、ヘンリク・ムヒタリアン選手がワンタッチで前を向く鋭いターンからキーパーをかわしてシュートを放つが、ゴールライン際でDFバスティアン・オプチカ選手にクリアされた。
ドルトムントが攻勢をかける中で均衡が破れたのは前半39分。ペナルティーエリア内で倒されたロイス選手が獲得したPKを、ギュンドアン選手が決めてドルトムントが先制。前半終了間際にはムヒタリアン選手がネットを揺らすが、これはオフサイドの判定となり、ドルトムントが1点をリードして後半を迎えることとなった。
強化試合ということもあり、前半からほとんどの選手を入れ替えたドルトムント。前半はベンチで戦況を見つめた香川選手も、後半開始からオフェンシブMFの位置に入った。
後半開始直後の後半3分、相手DFのパスを高い位置でカットしたゴンサロ・カストロ選手からのパスを中央で受けたアドリアン・ラモス選手がきっちり決め、ドルトムントが2-0にリードを広げる。
さらに後半17分、相手GKのパスミスをカットしたクリスチャン・プリシッチ選手がペナルティーエリア内に進入した香川選手にパスを送り、香川選手は右足でゴール中央に蹴り込んだ。3-0とリードを広げた香川選手のゴールに、会場を訪れた日本のファンたちは歓喜の声を上げた。
その5分後には、DFからのクリアにヘディングで競り勝り、自ら抜け出して2対1の数的優位を作ったラモス選手が、ダメ押しとなる追加点を挙げ、ドルトムントが4-0で勝利した。
フル出場の長谷部選手は、アンカーの位置で積極的にDFからのボールを受け、長短のパスを効果的に使い分けゲームを組み立てようとした。ドルトムントのカウンターには体を張って何度も防ぐなど攻守に奮闘するが、チームとしては決め手を欠き、ゴールを奪えないままの敗戦となった。
ドルトムントはドイツ・ブンデスリーガの前半戦17試合を終了し、現在2位につけている。マッツ・フンメルス選手やロイス選手など、ドイツ代表として2014年FIFAワールドカップを優勝したメンバーのほか、現在、ブンデスリーガの得点ランキングのトップを走り、2015年のアフリカ年間最優秀選手賞に輝いたガボン代表のピエール=エメリク・オーバメヤン選手などスター選手を擁し、後半戦に向けた準備を進めている。
1月9日からのドバイ合宿では、優勝を目指す後半戦を戦うため、朝晩の2部練習も含めた厳しいトレーニングが行われている。この時期のドバイは、日中最高気温は20度を超える。ドイツ代表マティアス・ギンター選手は、「ピッチだけでなく、ほかの施設も素晴らしい。ウインターブレーク中に太陽を浴びられて最高」と、気候の良いドバイ合宿の充実ぶりを語っている。
一方のフランクフルトは、前半戦を終えて14位。降格圏内の下位2チームとは勝ち点に大きな開きがないため、後半戦の巻き返しが期待される。現在、得点ランキング8位のアレクサンダー・マイヤー選手を中心に、攻撃陣の奮起が上昇への鍵。マイヤー選手は昨シーズン、優勝したバイエルン・ミュンヘンのロベルト・レヴァンドフスキ選手やアリエン・ロッベン選手(ともに17得点)を抑え、19得点を挙げて自身初のブンデスリーガ得点王を受賞した。
フランクフルトは、かつて元日本代表の高原直泰選手(現沖縄SV)や稲本潤一選手(現コンサドーレ札幌)らが所属し、日本でもなじみの深いクラブ。1月5日からアラブ首長国連邦の首都アブダビで合宿を行っており、10日にはサウジアラビアの強豪アル・アハリ・ジェッダと強化試合を行い、5-1で勝利している。
ドルトムントは引き続きドバイでの合宿を進め、15日には韓国の蔚山現代FCと強化試合を行う。