世界一高いビル、ブルジュ・ハリファを眼前に眺めるデザイン地区Dubai Design District(ドバイ・デザイン・ディストリクト、通称:d3)で4月2日~4日、アートイベント「Meet d3(ミート d3)」が開催された。
1971年に建国され国としての歴史が浅いアラブ首長国連邦は、アートやデザインを盛り上げていこうと精力的に取り組んでおり、ドバイを中心に昨今さまざまなイベントを開催している。同地区は、こうした動きに拍車をかける取り組みとして、現地に根差したデザイナーを育成するとともに、国際的なデザインやファッションブランドの集積地を目指している。
同イベントは、国際的なデザイナーに加え、ドバイに集う新進気鋭のデザイナーの作品に一般客が触れる機会を提供するイベントとして開かれた。
世界的なグラフィックデザイナーであるアメリカのShepard Fairey(シェパード・フェアリー)さんによるOBEYの巨大な壁画や、シャッターにアルファベットを描くスタイルで有名なストリート・デザイナーのBen Eine(ベン・エイン)さんのカラフルなABCが、来場した一般客を魅了。1960年から現在までのUAEの伝統的な女性ファッションの変遷を展示した「UAEドレス、発展の歴史(Evolution of Emirati Dress)」など、現地文化とデザインの融合を図った特別展示も行われた。
家族連れにも楽しめるイベントがめじろ押しで、英国のフード・アーキテクトであるBompas & Parr(ボンパス・アンド・パー)によるチューインガム製造工場見学や、チェコのガラス細工デザイナー、Lasvit(ラスビット)さんによるガラス細工製作体験は、次世代のデザイナーである子どもたちの想像力を大いに刺激した。
同地区を運営するTECOM Investments社のアミーナ・アル・ロスタマーニCEOは「ドバイ・デザイン・ディストリクトは、革新的なデザイン・コミュニティーをドバイに作るため、過去2年間にわたって周到な準備のもとに進められてきた一大アートプロジェクトである」と説明する。「今回のミートd3は、その一端を垣間見られるイベントであり、こうした活動を通じて地域に眠る才能を開花させていきたい」とも。
同イベントに参加したドバイ在住のミシェルさんは、「普段からアートイベントには頻繁に足を運んでいるが、今回は音楽やファッション、料理に至るまでデザインが施されており、とてもダイナミックなイベントだと感じた」と語る。「ドバイのアートシーンは依然として歴史が浅く、同地区がアートやデザインの需要に応える重要な発信地となるだろう」と期待を寄せる。