エイチ・アイ・エス(東京都新宿区)は12月4日、ドバイマリーナ地区のAtelier M(アトリエM)で三重県の食材を生かしたイベントを行った。農林水産省、JETRO、三重県の後援を得て開き、日本総領事はじめドバイの大手企業オーナーなど約200人が参加した。
観光業として知られるエイチ・アイ・エスだが、2030年までに1,360兆円規模にまで成長すると試算されている食関連市場に目を向けている。同社の強みである海外店舗ネットワークを活用し、日本の産地・生産者を世界市場につなげる商社のような機能を有することを目指す。
同事業に伴い、同社は10月31日、三重県と農林水産省や食関連等産業の自律的・持続的な発展と地域の活性化を目的とした「食の海外展開に係る戦略的連携協定」を結んだ。今後、ドバイを中心に中東やアフリカへ海外展開していく。
イベントでは、三重県の特産物である抹茶やミカン、そば、日本酒が会場を彩った。日本の文化を代表するものとして、茶道体験、そば打ち、原宿ガール、芸者及び和太鼓によるパフォーマンスがさらに会場を盛り上げた。
同社の山野辺取締役は「現在に至るまで旅行業のみを行ってきたが、世界70カ国、500支店、1万8千人を雇用しているエイチ・アイ・エスがそれぞれの支店で日本食ビジネスを行えば、日本食材は高いというイメージを払拭させ、より多くの国へ日本食材を届けることができるのではないかと考え取り組みを始めた。日本の生産者を世界市場につなげるために協働できればと思う」と話した。
アトリエMのオーナー、モハメドさんは「ニューヨーク及びロサンゼルスで30年以上のシェフの経歴があり、世界的に知られるホテルでエグゼクティブとして勤めてきた。当時から日本食材を扱っており、質の高さはすでに理解している。今でも買い付けのために日本へよく訪れる。アトリエMでも多くの日本食材を使用しているが、今回三重県の食材は初めて取り扱った。日本の質の高い食材はまだ海外に出ていないものが多く、私も一人のシェフとして、少しでも日本の食材を海外へ紹介していくことができればと思う。今後もエイチ・アイ・エスとアトリエMで共同して毎年イベントを行っていく予定」と話した。
イベントで紹介された100%日本産抹茶チョコレートは今後、アゼルバイジャンにて製造し、ロシアを含んだCISや欧州、中東地域へ転送販売することが決定している。